1)透析低血圧:血行動態解析
Dialysis hypotension: A hemodynamic analysis
推薦コメント:透析低血圧のメカニズムについて、循環血液量減少に対する生理学的反応、循環血液量減少中の重要な心血管反射、熱ストレスに対する血行動態反応、食物またはブドウ糖の摂取に対する血行動態反応、尿毒症における自律神経反射障害、尿毒症患者における血漿中血管活性ホルモンの異常分泌/制御、循環血液量減少に対する代償反応:透析治療面による障害、血液透析中の交感神経障害、等々、様々な視点で論述されており、日常発生する透析低血圧対策を考える上で役に立つ文献です。
2)血液透析患者におけるナトリウムの設定値と透析間の体重増加量および血圧との関係性
推薦コメント:健常者では、個人が特定の浸透圧値を持っており、それを超えると喉の渇きが生じ、水分が摂取されます。 この特定の浸透圧値または設定値は個人によって異なりますが、個人内で非常に再現性があります。 透析患者においても健常者と同様な傾向を示すかを検討し、透析液と血清Na濃度勾配の大きさと、透析間の体重増加量および血圧との間に有意な関連を認めています。 透析液のNa濃度の個別化が重要であることを教えてくれる興味深い論文です。
3)透析関連アミロイドーシス:課題と解決策
Dialysis-related amyloidosis: challenges and solutions
推薦コメント:透析関連アミロイドーシスは、長期に透析を行っていく上で深刻な合併症であり、主にβ2Mで構成されるアミロイド線維が骨関節構造および内臓に沈着することで発症します。 β2Mの血清レベルは、慢性炎症、肝疾患など、いくつかの病的状態でも上昇します。 この論文では、透析関連アミロイドーシスの病因、その予防、治療、および、将来の解決策について述べられており、長期透析を前提とした透析患者の治療を行っていく上で、非常に参考になる文献です。
©2023, Japanese Society for Technology of Blood purification