日本血液浄化技術学会

学術委員会が選ぶ必読論文011


1)透析患者における持続エリスロポエチンアクティベーターとエポエチンβの比較において鉄代謝アセスメントをするための赤血球指標について

Erythrocyte Indices in the Assessment of Iron Status in Dialysis-Dependent Patients with End-Stage Renal Disease on Continuous Erythropoietin Receptor Activator versus Epoetin β Therapy

推薦コメント:鉄欠乏状態を評価する血清フェリチン、トランスフェリン飽和度などの検査は、いずれも測定が煩雑であり、また間接的測定法であるため正確性に欠けています。 最近は網赤血球のヘモグロビン含量が汎用の血球分析装置で測定可能となり、その鋭敏な反応性が機能的鉄欠乏の指標となることが指摘されています。 この論文はこの指標を用いて、持続エリスロポエチンアクティベーターとエポエチンβ投与後の機能的鉄欠乏状態を比較評価したもので、ESA製剤の違いにより、鉄欠乏を示す時間が違うこと(鉄利用効率の違い)が報告されています。 日常の診療において、より正確に鉄欠乏状態を知るための検査タイミングと効果的な鉄剤投与を行う上で参考になる報告です。


2)長期透析患者の貧血に対するRoxadustat治療

Roxadustat Treatment for Anemia in Patients Undergoing Long-Term Dialysis

推薦コメント:長期透析患者を対象に腎性貧血治療薬である 既存のESA製剤(注射薬)と、ESA製剤とは異なる作用機序を有するHIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬(経口薬)を比較した論文です。 造血における『低酸素応答』を基にした生体反応は2019年にノーベル生理学・医学賞で脚光を浴びていることからも、今後の腎性貧血治療を考えるうえで非常に参考になる論文です。


3)血液透析を受けている高齢者の食物摂取量評価

Food Intake Assessment of Elderly Patients on Hemodialysis

推薦コメント:101例の対象をもとに、高齢透析患者の食事摂取量が腎機能正常な高齢者の食事摂取量よりも少ないかどうかを調査した論文です。 結果は、高齢透析患者は腎機能正常高齢者と比較して、タンパク質とリンの摂取量が有意に低く、非透析日の食事摂取量も優位に低いという結果が示されています。 論文中でも、主に透析治療の日中の栄養摂取量を改善するための努力が重要であることが強調されており、昨今高齢化の進むわが国の透析医療では目を背けることのできない興味深い題材の論文です。


4)血液透析患者におけるGeriatric Nutrition Risk Index、骨密度、体組成および握力の関連性について

Associations among Geriatric Nutrition Risk Index, bone mineral density, body composition and handgrip strength in patients receiving hemodialysis

推薦コメント:低栄養状態は、血液透析患者の合併症として発生し、骨粗鬆症やサルコペニア、身体能力の低下の危険因子であると考えられています。 本論文は、164名の血液透析患者を対象に、栄養状態と骨密度(BMD)、身体組成と握力(HGS)との関連性を評価したものです。 透析歴の長期化や透析患者の高齢化に直面している我が国の透析領域にとって今後積極的に評価していく必要のある分野を取り上げた興味深い論文です。


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