1)急性腎不全の重症患者における持続的腎代替療法の中止に対する血清好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリンの効果。
推薦コメント:集中治療室(ICU)の急性腎障害(AKI)でCRRT開始となった患者において、CRRT離脱のタイミングが適切であったかどうかを判断する指標を見つけるために、離脱成功例と失敗例で、離脱時の尿量や血清好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)濃度、クレアチニン濃度などを比較した探索的な研究です。 通常RRTの離脱の条件としては、尿量が利用されていますが、今回、非敗血症患者においては、NGALは尿量と同様に離脱の成功、不成功を決める予測因子になっていることが示されています。 本研究は単施設ICUで行われた観察研究であることから、 さまざまなバイアスがあり、この結果をもって、NGALが離脱のタイミングを決める因子であるとまでは言えませんが、NGALの予測因子としての可能性を示したという意味で、興味深い論文です。
2)単純血漿交換と選択的血漿交換、およびその併用療法での溶質除去動態:臨床報告。
推薦コメント:アルブミン置換による血漿交換療法(PE)と 選択的血漿交換(SePE)は、それぞれadvantageとdisadvantageが存在します。 PEとSePE、およびその併用療法について、病因物質の除去と凝固因子保持の観点から、溶質動態を検討した報告です。
3)QTc間隔の延長と一般集団における総死亡および心血管死亡および突然死のリスク:前向きコホート研究のレビューと定性的概要。
推薦コメント:一般健常者のQTc間隔の延長と、 総死亡および心血管死亡および突然死のリスクについての関連を文献から評価した総説です。 現在までに行われてきたQTc間隔の延長と死亡率に関する研究の結果がわかりやすくまとめられています。
4)QT延長は、末期腎不全における死亡率の独立した予測因子である。
QT Prolongation Is an Independent Predictor of Mortality in End-Stage Renal Disease
推薦コメント:冠状動脈疾患(CAD)は、一般人における心臓突然死の主な原因であり、心臓突然死は、末期腎不全(ESRD)患者の主要な死亡原因であることはよく知られています。 本論文では、QT間隔の延長が、ESRDの独立した予測因子であるかを検討しています。 ESRD患者におけるQT間隔の延長は、 正常な患者に比較しての死亡率が高く、左室駆出率(LVEF)の低下、および血管造影でのCADの重症度の低下が、QTcの延長の独立した予測因子であることが示されています。
©2023, Japanese Society for Technology of Blood purification