日本血液浄化技術学会

学術委員会が選ぶ必読論文005


1)敗血症性ショックに対するエンドトキシン吸着療法 - EUPHRATES trial -

Effect of Targeted Polymyxin B Hemoperfusion on 28-Day Mortality in Patients With Septic Shock and Elevated Endotoxin Level The EUPHRATES Randomized Clinical Trial

推薦コメント:EUPHRATES試験は、米国とカナダの約60施設のICUが参加した二重盲検RCTで、敗血症性ショック患者を、標準治療を受けている患者群と標準治療にPMX治療を加えた患者群にランダム化し、比較したものです。 主要アウトカムである28日死亡率では両群間に差は認められませんでしたが、 PMX群において循環動態の改善、人工呼吸器フリーデーの有意な改善が認められています。 28日死亡率に差がなかったから、PMXは効果がないという短絡的な考えは危険であり、元の論文をしっかり読んで理解しておくべきだと思います。


2)急性腎障害および敗血症の患者における腎代替療法のタイミング。

Timing of Renal-Replacement Therapy in Patients with Acute Kidney Injury and Sepsis

推薦コメント:これまで、AKI全体(AKIKI)や術後患者のAKI(ELAIN)に対してRRT開始時期を検証するRCTが行われたが、結果は一致していません。 今回の研究では敗血症ショックが対象となっており、より限定された対象で試験が行われました。 結果としてはどの時点でも死亡率に差がないばかりか、Delay群では一定の患者群でRRTを回避できています。 倫理的な側面から、48時間後にはRRTを施行するプロトコールであったため、実際にはさらに多くの患者がRRT回避できた可能性があります。 また、試験自体が無益性のため早期中止されており、どのくらい遅くRRTをやっても大丈夫かはまだ明確にわかってはいません。 敗血症における早期RRTの導入には適正なモニタリングを確認する必要がありそうです。


3)重篤なAKI患者の血漿バイオマーカによる腎臓回復の予測。

Plasma Biomarkers in Predicting Renal Recovery from Acute Kidney Injury in Critically Ill Patients

推薦コメント:AKI患者における腎機能の回復予測因子として、NGAL・BNPなどの血漿バイオマーカと年齢を組み合わせ、指標として役立つか検討した論文です。 限られたサンプルサイスであることや、 体液量などの影響に関する補正がされていないなど、課題は残るものの腎機能の回復を予測する事で、CRRTの開始や終了の判断が容易となり、血管アクセス選択や移植といった、次の段階に向かうための、材料となる可能性を期待させる論文です。


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