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第44回日本血液浄化技術学会学術大会・総会の御挨拶

2016年9月吉日
第44回日本血液浄化技術学会学術大会・総会
大会長 山家敏彦
(神奈川工科大学 工学部臨床工学科)

 この度、2017年度 第44回日本血液浄化技術学会学術大会・総会 大会長を拝命しました神奈川工科大学の山家敏彦と申します。
 この御挨拶は、故郷、山形は最上川の畔にあるホテルの一室にて綴っております。窓から見える大河 最上川は、まさしく現在の血液浄化療法と重なります。「五月雨をあつめてはやし最上川」。極めて多くの工学、医学知識が五月雨のように降り注ぎ、支流からやがて大河となって大海に注ぎ込む、まさしく現代の血液浄化療法を見るがごとしと感じます。多くの知見が急流となって押し寄せていますが、工学と臨床医学の融合は、穏やかで安全な河口へと導いてくれています。自動化が当たり前の時代になりつつありますが、自動化とは何であろうか。目指すゴールは、どこなのであろうか。
 
 本大会のテーマは、「臨床発・未来技術の創造-Go back to the future」とさせて頂きました。源流を振り返っては未来を見つめ、臨床現場での様々な問題解決を試み、臨床へ還元する、そのような循環を円滑に作り出すことが学術大会の大きな役割ではないかと考えます。未来技術の創造を目指す一方で、世界水準の医療に追いついていない国々への支援も血液浄化先進国としての責務でもあります。世界の血液浄化事情を把握し、我々に出来ることを少しずつ進めて行くことが必要と考え、国際セッションの企画も進めております。
 
 また、臨床現場では、チーム医療による安心安全な医療の実践が叫ばれて久しくなります。災害医療においても医師、看護師、臨床工学技士による災害時透析医療の協働体制が必須との考えからJHATという実働部隊が発足しています。災害時における多職種連携とその役割について、日本腎不全看護学会との共同企画として長時間の議論も企画しております。ここでは、支援側と受援側の経験者における本音と疑似体験が可能な内容など十分な時間を確保した検討が進んでおります。
 
 医学と工学は、別の専門領域と考えられがちですが、医学も工学も根底にある倫理や目的は、「診断し疾患を治す医学」「人に役立つことで社会貢献を果たす工学」と言う点で、何ら異なることのない領域と考えます。本大会では、現在の立場で過去を振り返り、未来を垣間見ることが出来るような夢ある大会にしたいと愚考しております。準備期間も約半年となりました。関係者とともに協力しながら尽力してまいりたいと思います。会員各位、諸兄姉からの御指導、御支援を賜わりたくお願い申し上げますとともに、多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げます。